阿佐田党武大派
虚実混交 〜色川武大と阿佐田哲也



阿佐田哲也をご存じない方もいるかもしれませんが、角川映画の「麻雀放浪記」の原作者だといえばわかる方も多いでしょう。 最近では講談社の少年マガジン上で「勝負師伝説 哲也 〜雀聖と呼ばれた男〜」が 原案:さいふうめい氏、漫画:星野泰視氏のコンビによって連載されています。
実は阿佐田哲也氏は本名の色川武大という名前でも小説を書いています。つまり、 二つの名前を持つ男なのでした。
さらに最近、「井上志摩夫」名での作品があいついで本になり、とうとう 「3つの名前を持つ男」となってしまいました。
阿佐田哲也といえば「雀聖」と呼ばれるだけあって「麻雀」というイメージしか わかない人も多いでしょうが、麻雀以外を題材にした小説も多数書いています。 また、麻雀を題材にした小説でも麻雀の技術的内容というよりは、麻雀を通して 人間の心理を描いたものが多く、「麻雀のことはちっとも知らない」という人が 読んでも何ら問題はありません。
色川武大名では純文学的な作品を多く残しています。
井上志摩夫名では時代小説を書いています。井上志摩夫名での執筆は 昭和30年代前半におこなわれているようで、あまり多くの作品は 知られていません。
阿佐田哲也/色川武大の多くの小説に共通する因子は「アウトロウの世界」それも 「人と同じように生きようとしてできなかった人たちのアウトロウの世界」だと 思います。そんな世界を垣間見てみたい方、ひとつ読んでみてはどうですか?

阿佐田哲也(あさだてつや)
色川 武大(いろかわぶだい または いろかわたけひろ)
井上志摩夫(いのうえしまお)